セカンドライフの楽しみとして、歴代の「このミステリーがすごい!」国内編1位作品をすべて読むことに挑戦しようと思います。今までに読んだ作品もたくさんありますが、もう一度最初からじっくり読み返していく予定です。
エンターテインメントとして楽しむのはもちろん、一流の作家が持つ独自の世界観に触れることで、自分の世界を広げ、日々の暮らしに新しい刺激を取り入れたいです。洗練されたストーリーや文章から刺激をもらい、自分の感性を心地よく磨いていけたらと思っています。
これまでの「このミステリーがすごい!」国内編1位作品を年代別にまとめましたので、ぜひみなさんの読書リストの参考にしてみてください。
「このミステリーがすごい!」国内編の歴代1位は、その年のミステリー界を牽引する最高峰の傑作として、毎年12月に発表されています。緻密な伏線回収と驚愕のどんでん返しが特徴で、多くの読者を魅了し続けています。
2010年代は多面的な進化を遂げた変革期でした。特に専門家の評価が高い2作品が、2013年版の一位に輝いた横山秀夫の『64』と、2018年版の1位である今村昌弘の『屍人荘の殺人』です。組織の葛藤を圧倒的な密度で描いた『64』と、誰も予想し得ない特殊な設定で驚かせた『屍人荘の殺人』は、緻密な構成力でジャンルを牽引しました。
さらに、首位こそ逃したものの玄人筋から圧倒的な支持を集めた隠れた名作も見逃せません。たとえば2010年版で2位となった柳広司の『ダブル・ジョーカー』など、卓越したプロットが光るスパイサスペンスの心理戦はトップ作品に引けを取らない深みを持っています。
それまでの明日 原尞 2019年
「このミステリーがすごい!」国内編で1位に輝いた原尞の『それまでの明日』は、寡黙で理知的な私立探偵・沢崎が活躍する本格派の物語です。ある紳士から持ち込まれた、一見シンプルに思える身辺調査。しかし、調査対象の死が判明し、さらに依頼人までもが忽然と姿を消したことで、事態は大きな金融事件へと発展していきます。都会の哀愁をまとった静かで美しい文体と、緻密に編み込まれた謎解きが心地よい余韻を残す名作です。
◾️作品データ
作家:原尞(はら りょう)(日本を代表する直木賞受賞のハードボイルド作家です)
発売日:2018年3月1日(単行本発売。のちに2020年9月3日に文庫化されています)
出版社:早川書房
受賞歴:2019年版「このミステリーがすごい!」国内編 第1位、および「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
初出:書き下ろし作品です(前作から14年の歳月を費やして完成しました)
構成・ボリューム:全11章構成、文庫本で528ページ(じっくりと読み応えのある長編小説です)
キーワード:私立探偵、身辺調査、金融事件、失踪、大人の流儀、都会の哀愁
本に出てくる印象的な地域・場所:東京の西新宿(主人公の探偵事務所がある街)や赤坂(物語の発端となる料亭がある街)
おすすめの読者:上質な謎解きを楽しみたい方や、流行に左右されない静かで格好いい生き方に浸りたい方
電子書籍サービス:Amazon Kindleや楽天Koboなどの主要サービスで配信されています(2026年現在)
オーディオブックサービス:Amazon Audibleにて、西村長子さんの落ち着いたナレーションで配信されています(2026年現在)
屍人荘の殺人 今村昌弘 2018年
今村昌弘氏のデビュー作『屍人荘の殺人』は、主要な国内ミステリーランキングで1位に輝いた傑作です。舞台は、大学のサークル合宿で訪れた山奥のペンション。予期せぬ異常事態によって外界から完全に孤立した空間で、不可解な連続殺人事件が幕を開けます。従来の謎解きの枠組みを心地よく裏切る、奇抜な設定と緻密な論理展開が見事です。知的な刺激と興奮を味わいたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
◾️作品データ
作家: 今村昌弘(いまむら まさひろ)
発売日: 2017年10月13日(文庫版は2019年9月11日)
出版社: 東京創元社
受賞歴: 第27回鮎川哲也賞、本格ミステリ大賞、「このミステリーがすごい!」第1位など国内主要ランキング4冠
初出: 第27回鮎川哲也賞受賞の全編書き下ろし単行本(雑誌などでの先行連載はなし)
構成・ボリューム: 全6章構成(文庫版は約400ページ、単行本は約340ページ)
キーワード: 特殊設定ミステリ、大学サークル、密室殺人、孤立したペンション
本に出てくる印象的な地域・場所: 長野県(神紅大学の合宿地)、湖畔に佇む山奥のペンション「紫湛荘(しじんそう)」
おすすめの読者: 従来の枠にはまらない斬新な謎解きや、論理的で緻密な伏線回収を楽しみたいミステリファン
電子書籍サービス: Amazon Kindle、楽天Kobo、honto、コミックシーモアなど主要サービスで配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス: Audible(ナレーター:浅井晴美)、audiobook.jp(キャスト:千葉翔也、黒木ほの香、藤原聖侑ほか複数によるドラマ形式)(2026年現在)
涙香迷宮 竹本健治 2017年
「このミステリーがすごい!」で第1位に輝いた『涙香迷宮』は、日本語の美しさと奥深さを極限まで描き出した傑作です。明治の天才・黒岩涙香が遺した最高難度の暗号「いろは歌」に、天才的なひらめきを持つ青年が挑みます。次々と繰り出される言葉のパズルと、その裏に隠された歴史の闇。緻密に構成された謎解きのプロセスは、知的好奇心を心地よく刺激します。言葉を愛するすべての読者に捧げたい、至高のミステリーです。
◾️作品データ
作家:竹本健治(IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久が活躍する「ゲームシリーズ」の第3作です)
発売日:単行本 2016年3月10日 / 講談社文庫 2018年3月15日
出版社:講談社
受賞歴:第17回本格ミステリ大賞 受賞、「このミステリーがすごい!2017年版」国内編 第1位
初出:文芸誌『メフィスト』での連載(2014年〜2015年)に、書き下ろしを加えて単行本化
構成・ボリューム:全8章構成、文庫版:464ページ
キーワード:黒岩涙香、いろは歌(四十八首)、暗号解読、日本語の技巧、歴史の闇
本に出てくる印象的な地域・場所:黒岩涙香の旧邸が佇む、緑豊かで閑静な「紀尾井町(東京都千代田区)」
おすすめの読者:言葉遊びやパズルを愛する方、知的で重厚な謎解きにじっくり浸りたい大人の読者
電子書籍サービス:Amazon Kindle、BOOK☆WALKER、BookLive!、紀伊國屋書店Kinoppyなど主要各社で配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:現在、大手配信サービス(Audibleやaudiobook.jpなど)での公式な音源化(ナレーターによる朗読版)は未配信となっています(2026年現在)
王とサーカス 米澤穗信 2016年
『王とサーカス』は、米澤穂信氏による傑作ミステリーです。海外旅行中に王宮での惨劇に遭遇した若き新聞記者の主人公が、事件の謎を追う中で「他者の悲劇を報道することの是非」という重厚なテーマに直面します。単なる事件解決にとどまらず、情報を伝える側の倫理や人間の業を深く掘り下げた本作は、読者に強い余韻を残します。ミステリーとしての完成度はもちろん、深く考えさせられる人間ドラマが魅力の一冊です。
◾️作品データ
作家:米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
発売日:2015年7月31日(単行本版) / 2018年8月31日(文庫本版)
出版社:東京創元社
受賞歴:「このミステリーがすごい!2016年版」国内編 第1位(ほか主要ミステリーランキングで3冠を達成)
初出:書き下ろし作品
構成・ボリューム:全8章(文庫本版:474ページ)
キーワード:報道の倫理、王宮事件、フリージャーナリスト、群衆心理、異国での謎解き
印象的な地域・場所:ネパールの首都・カトマンズ(ダルバール広場、王宮、現地の安宿など)
おすすめの読者:社会的テーマのある重厚な小説が好きな方、人間の心理描写や倫理観を問うミステリーを読みたい方
電子書籍サービス:Amazon Kindleや楽天Kobo、BookLiveなど主要サービスで配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:Amazon Audibleにて完全版が配信中(ナレーター:中宮沙希)(2026年現在)
満願 米澤穗信 2015年
「このミステリーがすごい!」で1位に輝いた米澤穂信さんによる名作短編集です。日常に潜む一瞬の心の隙間や、人間の割り切れない思いを美しくも残酷に描き出しています。収録された6つの物語はどれも緊迫感に満ちており、最後に明かされる真相に深くうならされます。謎解きの面白さはもちろん、揺れ動く人間の心理に鋭く迫る極上のミステリーです。
◾️作品データ
作家:米澤穂信(よねざわ ほのぶ)
発売日:2014年3月20日(単行本) / 2017年8月1日(文庫本)
出版社:新潮社(新潮文庫)
受賞歴:第27回山本周五郎賞 受賞 / 2014年ミステリーランキング史上初3冠
初出:『小説新潮』『小説すばる』等の掲載作に一部加筆・改題して収録
構成・ボリューム:全6篇からなる短編集(文庫版:約350ページ)
キーワード:人間の心の闇、どんでん返し、大人の哀愁、日常の歪み、至高のミステリー
本に出てくる印象的な地域・場所:深大寺の達磨市(調布市)、寂れた温泉宿、海外の発展途上国、峠の茶屋
おすすめの読者:上質な心理サスペンスが好きな方、短い時間で深く味わえる読書を楽しみたい方
電子書籍サービス:Amazon Kindle 、楽天Kobo、honto、BookLive ほか主要各社にて配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:Amazon Audibleおよびaudiobook.jp(ナレーター:星 祐樹、ささき のぞみ)(2026年現在)
ノックス・マシン 法月綸太郎 2014年
『このミステリーがすごい!』で国内編1位に輝いた『ノックス・マシン』は、知的な興奮に満ちた傑作です。物語は、かつて作られた「探偵小説のルール」を巡り、驚くべき壮大な計画が動き出すところから始まります。緻密な構成と予想のつかない展開は、読者を心地よい思考の迷宮へと誘います。単なる謎解きにとどまらず、本を読む喜びそのものを再発見させてくれる一冊です。贅沢な読書時間を味わえます。
◾️作品データ
作家:法月綸太郎(のりづき りんたろう)
発売日:単行本 2013年3月27日 / 文庫本 2015年11月21日
出版社:KADOKAWA(角川書店)
受賞歴:「このミステリーがすごい!2014年版」国内編 第1位 /「ミステリが読みたい!2014年版」国内編 第1位
初出:角川書店『野性時代』2008年5月号(表題作)
構成・ボリューム:中篇4篇を収録した中篇集(文庫版換算で約240ページ)
キーワード:ノックスの十戒、数理文学解析、タイムトラベル、本格ミステリ×SF、メタフィクション
本に出てくる印象的な地域・場所:近未来の中国・上海(上海大学など)
おすすめの読者:古典ミステリの雑学が好きな方、論理的で知的なSF・タイムトラベル小説を読みたい方
電子書籍サービス:Amazon Kindle、BOOK☆WALKER、コミックシーモアなど主要サービスで配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:現在、日本語版の公式オーディオブック(ナレーターによる朗読)は配信されていません。(2026年現在)
64(ロクヨン) 横山秀夫 2013年
「このミステリーがすごい!」国内編で1位に輝いた横山秀夫の傑作です。わずか1週間で終わった昭和64年に発生し、未解決のまま時効が迫る少女誘拐事件、通称「ロクヨン」。物語は、警察の広報官という裏方の視点から描かれます。組織の重圧や保身、激しい内部対立に翻弄されながらも、主人公は事件の真相と向き合います。緻密な心理描写と圧倒的な臨場感に引き込まれる、深く読み応えのあるミステリーです。
◾️作品データ
作家:横山秀夫
発売日:2012年10月25日(単行本) / 2015年2月6日(文春文庫・上下巻)
出版社:文藝春秋
受賞・ランク:2013年「このミステリーがすごい!」国内編第1位
初出:書き下ろし作品(「別冊文藝春秋」での連載を大幅に改稿して単行本化)
構成・ボリューム:単行本 全640ページ(文庫版は上下巻で計784ページ)
キーワード:昭和64年、未解決誘拐事件、警察広報官、記者クラブ、組織の葛藤
印象的な地域・場所:D県(群馬県をモデルとした架空の地方都市)のD県警察本部、被害者宅
おすすめの読者:重厚な人間ドラマを好む方、組織で働く葛藤に共感したい方
電子書籍サービス:Kindle、楽天Kobo、hontoなどの主要電子書籍ストアで配信中(2026年現在)
オーディオブック:Amazon Audibleにて完全版を配信中(ナレーター:加藤将之)(2026年現在)
ジェノサイド 高野和明 2012年
「このミステリーがすごい!」で1位に輝いた、世界規模のスケールで描かれる傑作タイムリミットサスペンスです。コンゴの密林で極秘任務に就く傭兵と、東京の大学院生。一見交わるはずのない二人の物語が、人類の未来を揺るがす驚愕の真実によって結びついていきます。緻密な科学的背景と、息をのむ緊迫感。知的好奇心を刺激する圧倒的なストーリー展開に、ページをめくる手が止まらなくなる大作です。
◾️作品データ
作家:高野和明
発売日:2011年3月30日(単行本) / 2013年12月25日(文庫版・上下巻)
出版社:角川書店(現・KADOKAWA)
受賞歴:「このミステリーがすごい!2012年版」第1位、第65回日本推理作家協会賞、第2回山田風太郎賞、週刊文春ミステリーベスト10第1位
初出:書き下ろし作品
構成・ボリューム:単行本 全590ページ(文庫版は上・下巻の2冊構成、計約800ページ)
キーワード:超人類の誕生、ウイルス、新薬開発、傭兵、国家の陰謀、タイムリミットサスペンス
印象的な地域・場所:コンゴ民主共和国の熱帯雨林、アメリカ・ホワイトハウス、日本・東京(町田市の私立大学など)
おすすめの読者:映画のような大スケールの物語が好きな方、本格的な科学・医療サスペンスに浸りたい方、一気読みできるスリリングな展開を求めている方
電子書籍サービス:Amazon Kindle、楽天Kobo、BookLive、honto、Reader Storeなどの主要サービスで配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:Amazon Audibleにて「新装版」を上・下巻で配信中(ナレーター:浅科准平)(2026年現在)
悪の教典 貴志祐介 2011年
「このミステリーがすごい!」で1位に輝いた貴志祐介の傑作です。舞台は、誰もが信頼を寄せる端正な高校教師が赴任する学校。生徒や同僚を魅了する彼の正体は、他者への共感を持たない冷酷な人物でした。学校が抱える問題を解決する裏で、彼は自らの目的のために驚くべき計画を進めていきます。人間の心の奥底に潜む暗部を、圧倒的な筆力で描き出した衝撃作。緊迫感に満ちた心理戦と展開から、目が離せなくなります。
◾️作品データ
作家:貴志祐介
発売日:2010年7月30日(単行本) / 2012年8月3日(文春文庫 上・下巻)
出版社:文藝春秋
受賞歴:第1回山田風太郎賞受賞、「このミステリーがすごい!2011年版」国内編第1位
初出:『別册文藝春秋』2008年7月号から2010年7月号にかけて連載
構成・ボリューム:単行本 全1巻(672ページ) / 文庫本 上・下巻(計900ページ超)
キーワード:サイコパス、スクールホラー、ピカレスクロマン、裏の顔、緊迫感
本に出てくる印象的な地域・場所:晨光学院町田高校(東京都町田市が舞台の架空の学校)
おすすめの読者:人間の心理の闇を描いた本格サスペンスや、息もつかせぬスリリングな展開を好む方
電子書籍サービス:Amazon Kindle、楽天Kobo、コミックシーモア、ブックライブなどで「合本版」や「上下巻」を配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:audiobook.jpにて配信中(ナレーター:浅科准平、今村一誌洋、大谷歩、金子哲平ほか計11名の豪華声優陣による朗読)(2026年現在)
新参者 東野圭吾 2010年
東野圭吾氏の傑作『新参者』は、日本橋で起きた殺人事件を追う刑事・加賀恭一郎の活躍を描いたミステリーです。舞台となる伝統ある下町の人間模様が魅力で、加賀は住民たちが抱える小さな嘘を一つずつ紐解いていきます。その嘘の裏に隠された、不器用ながらも温かい家族愛や周囲への思いやりの物語に深く胸を打たれます。緻密な謎解きの面白さはもちろん、人の心の機微を丁寧にすくい上げた、豊かで深い余韻が残る名作です。
◾️作品データ
作家:東野圭吾
発売日:2009年9月18日(単行本) / 2013年8月9日(講談社文庫)
出版社:講談社
受賞歴:『このミステリーがすごい!2010』国内編 第1位、『週刊文春ミステリーベスト10(2009年)』第1位
初出:小説誌『小説現代』2004年8月号〜2009年5月号掲載(連作短編として連載)
構成・ボリューム:全9章からなる連作短編型の長篇ミステリー(単行本:354ページ)
キーワード:日本橋、人形町、加賀恭一郎、人情推理、小さな嘘、家族愛
印象的な地域・場所:東京・日本橋人形町(水天宮、甘酒横丁、煎餅屋、時計店、鯛焼き屋など実在のスポットがモデル)
おすすめの読者:人間ドラマが好きな方、謎解きだけでなく温かい読後感を味わいたい方、下町散策が好きな方
電子書籍サービス:Kindleストア、楽天Kobo、紀伊國屋書店Kinoppyなど主要な電子書籍ストアで配信中(2026年現在)
オーディオブックサービス:本作『新参者』自体のオーディオブック(音声配信)はありません(※同シリーズの書き下ろし完全新作『誰かが私を殺した』のみAudibleにて寺島しのぶ氏・松坂桃李氏らのナレーションで独占配信されています)。(2026年現在)
