アカデミー賞で最多7部門を受賞した話題作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を鑑賞しました。めまぐるしく展開されるカオスな映像と家族のドラマが一体となった、非常にエネルギーのある作品でした。世間の高い評価とは裏腹に、個人的には少し気になるところもあり、フラットな視点で心に残ったポイントを綴ってみたいと思います。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』作品データ
日本公開日:2023年3月3日
配給会社:ギャガ
監督・脚本:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(“ダニエルズ”)
主なキャスト:ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ステファニー・シュー、ジェイミー・リー・カーティス、ジェームズ・ホン
上映時間:139分(2時間19分)
受賞歴:第95回アカデミー賞 作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の最多7部門受賞
原作着想:特定の原作はなく、監督コンビの「ダニエルズ」によるオリジナル脚本。日常の些細なストレスや、無限の選択肢がある世界についての想像から着想を得ています。
映画に出てくる印象的な地域・場所:アメリカ・コインランドリー(主人公たちが営む店)、税務署の殺風景なオフィス、そしてマルチバース(並行宇宙)で繋がる奇想天外な世界。
動画配信サービス:WOWOWオンデマンド、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオなど(※本予告や特報などのプロモーション映像では、声優の鈴代紗弓さんなどがナレーションを担当しています
簡単なあらすじ
アメリカでコインランドリーを経営する中国系移民の女性エヴリンは、経営難や夫とのすれ違い、そして反抗期の娘との確執など、日々の生活の苦労に追われていました。そんなある日、確定申告のために訪れた税務署で、夫の様子が急に豹変します。彼は別の並行宇宙からやってきたと語り、全宇宙を滅ぼそうとする恐ろしい存在を止められるのはエヴリンだけだと告げます。戸惑う間もなく、彼女は不思議な力を得て、さまざまな並行宇宙の自分と繋がりながら、世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていきます。
感想・レビュー おすすめ度:C(普通)
話題の高さとアカデミー賞受賞という前評判から大きな期待を持って観ましたが、率直なところ「手放しで素晴らしい」とは感じにくい部分がありました。
良かった点は、長年活躍してきたミシェル・ヨーの圧倒的な存在感と、かつて名子役として知られたキー・ホイ・クァンの温かみのある演技です。家族の絆や、人生で選ばなかった別の道への切なさを描いた終盤のヒューマンドラマには、胸を打たれる瞬間もありました。
一方で、そこに至るまでの前半の展開が非常にガチャガチャとしており、次から次へと下品なジョークや目まぐるしいアクションが詰め込まれているため、観ていて少し疲れてしまったのが本音です。色々なジャンルを混ぜ合わせた実験的な試みは面白いと思いますが、人によって好みが大きく分かれる作品だと感じました。刺激的な映像体験を求める方には良いかもしれませんが、落ち着いた物語を好む人には少しエネルギーが強すぎる一作かもしれません。

